TEACHING

ゼミおよび関連講義で教える(教える予定の)内容のまとめ

1. 実証政治科学に関連する学術論文購読

本ゼミナールで読む(英語)文献は、実証政治科学に関連する文献です。ゼミ生の興味関心に合わせて調整はしますが、基本的に3年次前半は世論形成や意思決定に関連する基礎的な理論文献、3年次後半以降は、より実践的な、現実の政治を分析している文献を中心に読んでいきます。

現代政治分野の実証・科学的研究は、欧米圏で多くの成果があります。本ゼミナールでは短い新聞記事ではなく、学術論文・学術書をメインに毎週英語文献を読むことを覚悟してください。英語の授業ではないので、1字1句精読することは求めませんし、勧めません。複雑な英語論文の要点をどう効果的につかみ、いかに現代政治について自分の理解が深められるか、という点に注力して読んでください。また、欧米圏における知見をそのまま受け入れるのではなく、日本を含む非欧米圏のコンテクストにどう適用・応用していけるかについて考えてみてください。

なお、毎回、担当者を決めて、レジュメを準備してきてもらます。ゼミ中は、レジュメに則して担当者に文献を紹介してもらい、適宜内容について確認・議論をしながら読み進めます。英語文献を読んだ際は、英語でレジュメを準備することを強く勧めますが、ゼミ中の文献紹介は、内容を正確に掴むために基本的に日本語で行います。よくわからなかった部分は「よくわからなかった」と正直にいってもらい、ゼミ中に一緒に考える形で進めます。

2. Rを用いた統計分析・仮説検証の実践

本ゼミナールでは、科学的思考法を理解し、それに沿った研究を行えるようになることを目指します。今年度の3年生は、今井耕介著『社会科学のためのデータ分析入門』(Quantitaive Social Science: An Introduction)を用いて、仮説検証という考え方、仮説検証の理想形である実験、世論調査などの観察データを用いた研究デザイン、および実証的な分析を行うツールとして、統計ソフトRを用いた分析の行い方と、分析結果の適切な解釈について学んでいます。

本ゼミナールの卒業論文は、量的分析手法、もしくは数理理論を用いることを条件とします。具体的な手法・ツールについてはゼミ中に教えるので事前知識は特に求めませんし、数学が得意である必要もありません。ただし、数字・統計を用いた論理的・客観的な思考法を育てる心の準備をしてきてください。

3. サーベイ実験のデザイン・実施・分析の実践

3年次のゼミでは、夏から冬にかけて、グループ・プロジェクトとして実際にサーベイ実験をデザイン・実施・分析してもらう予定です。「Learning by doing」をテーマに、実際に研究手続きを体験してもらうことで、4年次に卒業論文を書くための準備につなげます。(まだ未実施ですので、実際に実施をしたらもう少し詳細を紹介します。)

4. 政治過程の理論的説明に対する数理的アプローチ(政治過程論)

義務ではありませんが、特に科学的な理論の形成に関心がある生徒は、ゼミ担当教員(加藤言人)が教える講義「政治過程論」の受講を強く勧めます。この講義では、科学的なリサーチ・デザインの説明に加えて、数理理論的アプローチを用いた政治過程のモデル(理論)化について教えています。以下に講義の概要を再掲します。

「政治過程論」講義概要:政治過程論とは、政治が行われる様々なプロセスを理解し、論理的に説明しようとする学問である。法律や制度などの記述を超えて、政治がなぜ、どのように動いているのかについて、理論を立てて科学的な検証を行うことが、その目的となる。本講義では、政治過程論について、次の4つのタスクを達成することを目指す。(1)政治過程論が扱う問いの射程を理解する。(2)政治過程論において用いられる方法論のエッセンスを習得する。(3)特に合理的選択理論(ゲーム理論/フォーマルモデル)の文脈において、政治過程論の研究がどう構築・発展しているかを理解する。(4)政治過程をロジカルに捉え、またそのロジックを批判的に検討する力を身に着ける。

5. 学術的文章の作成

3年次には、卒業論文執筆に必要な、学術的な文章の書き方について教えます。今年(2024年度)は佐渡島紗織・吉野亜矢子著『これから研究を書く人のためのガイドブック』を使いながら、分かりやすく整理された文章の書き方、および参考文献の引用方法などについて理解を深めています。具体的には、短い文章課題を出し、その内容についてゼミ時間中にディスカッションを行いながら考察しています。